雇用契約書の存在なんて知らなかったあなた!
「会社と雇用契約を交わしたおぼえなんて無い。」
「雇用契約書が無いのって違法なんじゃないの?」
そんな疑問を感じていて、会社に不信感を抱いていませんか?
入社したばかりや、勤めている会社でふと、「雇用契約書」がないと思うと心配になりますよね。
実は会社が雇用契約書を用意しないのは違法ではなく、法律上は雇用契約書のは必ずしも必要というわけではないんです。
正確には雇用契約書ではなく「労働条件の明示」が義務となっており、「労働条件通知書」という形なりで書面で説明することが必要になっています。
つまり、労働条件の明示を書面でされていない場合は、会社側は違法であるということになります。
そうとはいえ、お互いで確認する上では雇用契約書が効率的であることは明らかで、それを省略する会社へは不信感を抱いても仕方がありません。
この記事では「雇用契約書がないことによるトラブルやその対処法」について解説します。
この記事でわかること
- 雇用契約書がないのは違法ではない
- 法律上の義務は書面での労働条件の明示
- 雇用契約書によるトラブルとその対処法
この記事の目次
雇用契約書がない会社は違法?ブラック企業では?
冒頭で紹介した通り、雇用契約書がないことは違法ではありません。
必須となるのは労働条件の明示で、書面で説明することが義務になっています。
しかし実際に雇用契約書の役割は大きく、労働者と会社側との相互確認が取れるという最大のメリットがあることです。
法律上は違法でなくても、適正な労務管理をおこなおうとする会社であれば、雇用契約書を交わすことが最も効率的でしょう。
それでも雇用契約書がないということは、何か説明できない事情があるのではないかと疑ってしまいます。
正社員であるない関係なしに、雇用形態や労働条件はしっかり確認しておきましょう。
状況によってはブラック企業の可能性まで感じてしまう場合もあるでしょう。
雇用契約書ではなく「労働条件の明示」が必要
会社と労働者の間には、雇用契約書ではなく「労働条件の明示」が必要となるわけですが、具体的にどんな内容なのか?
会社から説明されるべき労働条件
- 契約期間
- 契約更新の基準
- 就業の場所、業務の内容
- 労働時間(始業・終業・休憩・休日など)
- 賃金について(給料の決定方法・支払時期)
- 退職について(退職方法・解雇の理由など)
上記であげた内容は、どれも労働する上で重要な事項です。
会社側は雇用契約書ではなく「労働条件通知書」を労働者に通知することで、義務を果たしていることになります。
つまり「労働条件通知書」をもらえているのなら、会社側の違法にはなりません。
しかし、一方的に労働条件についての書面を渡すよりも、雇用契約書でお互いに確認しあって保管できる書類のほうが信頼性は高いものであることは間違いありません。
そこは会社側の判断によるものですが、そのような会社を選ぶかどうかも労働者側が判断できることです。
労働条件の明示がない場合はどうなる?
労働条件を書面で明示されていない場合、会社側の義務違反となり、会社が罰則を受けることになります。
「30万円以下の罰金(労働基準法120号1号)」が対象となります。
また、以下のような場合も会社側の違法となります。
こんなケースも
- 労働条件が聞いていたことと違った
- 労働条件が明示されていないことがあった
- 通知された労働条件が労働基準法違反であった
会社に対して疑問を感じることがあれば、その時に確認しておくことでその後のトラブル回避になるかもしれません。
雇用契約書がない場合のトラブル
雇用契約書がない会社ではトラブルが起こりやすくなります。
それは当然会社としての義務を怠っているわけで、労働者に不利益が生じれば問題となるでしょう。
会社に有利になる就業規則がある
就業規則は会社が決める独自のルールで、法律を基に本来は決められるものです。
それも雇用契約書を交わさない会社の場合、会社に有利になる就業規則を決めている可能性もあります。
「減給の規定・残業代支払い逃れ・損害賠償の請求・就業規則違反による解雇」など、知らされていないルールによって労働者が不利益を被ることも考えられます。
求人情報と実際の労働条件が異なる
会社へ入社する際には、求人情報を確認して応募・面接して入社へ至ることが多いと思います。
雇用契約書がない場合に、実際に仕事をし始めると「聞いていた労働条件と違う!」なんてことになる恐れがあります。
「給料・休日・労働時間・残業の有無・試用期間」など、偽りや目安として求人情報を掲載している会社が、何の説明もせずに雇用にいたってしまうケースがあります。
「言った言わない」の水掛け論になる
雇用契約書がない場合の最も多いトラブルとしては
- 会社側は「説明した」
- 労働者は「聞いていない」
という“言った言わない”のトラブルです。
そもそも口頭での説明では不十分なので、会社側が違法を犯していることは明らかです。雇用契約書がない時点で疑いを持って対策をとることが必要です。
雇用契約書・労働条件通知書がない場合の対処法
ここまで紹介したように、雇用契約書・労働条件通知書がない場合、どちらも会社として適正とは言えません。
雇用契約書がない場合
→会社とのトラブルの恐れ
労働条件通知書がない場合
→会社の義務違反
実際に、雇用契約書・労働条件通知書がない場合、どんな対処法が適切なのかを解説します。
雇用契約書がない場合の対処法
雇用契約書がないということだけでは、会社は義務違反ではありません。
ですので法律・法令によって対応を求めることはできません。
さらには「退職理由」として雇用契約書がないことも通用しません。
雇用契約書を会社へ求めてみるか、その他にも不信感があるようなら別の理由で訴えかけることも検討しましょう。
労働条件通知書があるのなら、その内容をもとに会社側と理解を深めましょう。
もし労働条件通知書もないのであれば、別の対処が必要なので次項↓で解説します。
労働条件通知書がない場合の対処法
雇用契約書もない、さらに会社の義務となる労働条件の明示が書面でなされていない場合、
- 労働条件の明示を求める
- 労働基準監督署へ相談する
- 会社を辞める
会社に改善の見込みがある場合、労働条件の明示を求めてみましょう。
直接会社へ言いづらい場合などは、労働基準監督署へ相談して適正化を求めましょう。
しかし、義務である労働条件の明示をされていない状況で、会社への信頼を失っているのなら、思い切って辞めてしまうことも必要でしょう。
あなたにとって今後利益を生まない会社であるかどうかを見極めるべきです。
-
ブラック企業の実態とは?9つの特徴から会社の“おかしい”を見抜く
続きを見る
まとめ
会社としては雇用契約書がないのは義務違反ではなく、労働条件通知書がないことが義務違反にあたります。
実際には労働条件を会社と労働者のお互いで確認し合うために、雇用契約書を活用するケースが多いということになります。
雇用契約書・労働条件通知書がないのにも関わらずトラブルの起きていない会社というのは、労働者側が意見できない職場環境か、労働者が自分を守ってくれる労働基準法について認識があまい場合に存在してしまいます。
まずは最低限の知識をもっとおくことが大切です。
雇用契約書がないのは?
- 雇用契約書がないのは違法ではない
- 義務違反に当たるのは労働条件の明示がない場合
- 労働条件の明示は口頭ではなく書面にておこなう
雇用契約書・労働条件通知書がない場合
- 会社へ改善の対応を求める
- 労働基準監督署へ相談する
- 信頼性にかけるなら退職も