労働の基礎知識

残業手当なし!法律的にはアウト?週40時間を超える強制労働の対処法

08/17/2019

働けど働けど、会社から残業手当をもらえていないあなた!

その会社、法律的にアウトかもしれませんよ?

残業は労働者の時間を体力を奪うものです。

その対価として得られるはずの“残業手当”がなしになっているのは、強制的に労働させられているのと同じことになります…。

もしかしたらブラック企業の可能性も心配される問題なので、慎重に、早急に、この問題へ対処してみませんか?

この記事でわかること

  • 残業手当なし!は法律的な見解
  • 会社から残業手当が出ない理由
  • 残業手当が出ない場合の対処法

この記事の目次

残業手当なし!法律的にはアウト?

まずは「残業手当なし」ということが、法律的にアウトではないのかという疑問から解説。

労働者を守ってくれる労働基準法ではこのような記述があります。

・時間外、休日及び深夜の割増賃金
使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

出典元:労働基準法第37条

労働基準法では難しいように記されていますが、つまり「通常の労働時間外に労働させた場合は、会社は残業手当を支払わなければいけない」ということになります。

残業手当が支払われていなかったり、労働した時間に見合った金額ではない場合、会社は法律的には違法の可能性が高いということです。「残業手当なし!」はアウトです。

残業は「1日8時間以上・週40時間以上」が適用

「そもそも残業の基準ってなに?」

残業手当が発生するのは、

  • 1日の労働時間が8時間を超えるとき
  • 週の労働時間が40時間を超えるとき

この“労働時間”には「休憩時間」は含まれません。

>> 労働時間に休憩は含まれる?45分や60分のルールを労働基準法から解説

雇用契約書・就業規則を確認しよう

労働時間について会社独自の決まりごとを、雇用契約書や就業規則によって設けている場合もあります。

しかし2つとも労働基準法に反しているものは認められないので、内容をしっかりと確認しましょう。

残業について、一般の労働者はあまり詳しく認識していないかもしれません。

だからこそ残業手当の支払われないことが起きてしまいます。

会社側の都合のいいように言いくるめられてしまう要因を、労働者側の厳しい目で見る必要もありそうです。

>> 雇用契約書がない会社は違法?口頭で大丈夫?起こるトラブルと対処法

残業手当が出ない理由とは?

残業しているのに手当が出ていない場合、会社に疑いの目を向けるでしょう。

「どんな理由があるの?」

「どうして残業手当が支払われないの?」

その主な理由を解説します。

給料の未払いはなぜ起こるのか?会社から支払われない原因と対処方法

管理職などの役職がついている

労働基準法では「管理監督者には割増賃金を払わなくていい」とされています。

ここで問題なのは、会社側が意図的に“名ばかりの管理職”に任命して違法に残業手当をなしにしてしまえること

実際には「管理監督者」イコール「管理職」ではなく、労働基準法でも判断基準を記しています。

管理監督者の判断基準

  • 職務内容
  • 責任と権限
  • 勤務態様等

これらの実態から判断されるため、“名ばかりの管理職”となってしまった場合には残業手当は支払われる対象となります。

固定残業代がすでに給料に含まれている

会社が取り入れている可能性があるのが、基本給の中にあらかじめ残業代を含んで計上しているケースです。

固定残業代・みなし残業代」と言われて、業種・職種によっては多くの企業で取り入れている残業手当の扱い方です。

その実態は、会社が労働時間を把握しづらかったり、労働時間にばらつきがあったりすると、一定の残業時間を含めた「固定残業代」として給料に含めることが出来るようになっています。

固定残業代は「◯時間の残業代として◯万円」と明確にする必要があり、残業時間がどれだけ増えても残業手当が変わらないなら疑問です。

残業時間が増えても「残業代の含んだ給料です」という説明をされるなど、そんな会社は違法である可能性が高いと言えます。

会社が残業の実態を認めていない

「残業手当なし」には、とても悪質なケースもあります。

残業手当を支払いたくなかったり、労働環境が健全であるように見せるために、残業はないことにしてしまう企業も存在します。

悪質な会社都合のルール

  • 18時までにタイムカードを押すこと
  • タイムカードを押したら残業してもOK

会社はこのようなルールを作って残業の実態をなしにして、労働者は終わらない仕事を片付けるために従う。

こんな悪質なカタチで残業手当が出ていないケースもあります。

残業のルールに疑問を感じたら要注意です。

会社から残業手当が出ない場合の対処法

「残業手当が出ないような会社は、労働基準法に違反するブラック企業だ。」

そう感じるかもしれませんが、まずは確認することからはじめましょう。

会社が意図せずに“残業手当がなし”になってしまっている可能性も想定されます。

残業手当が出ていないことを相談

まずは会社のしかるべき部署、信頼できる上司へ相談しましょう。

会社の不備で残業手当が支払われておらず、修正してくれる可能性もあります。

疑う気持ちを抑えて一度確認することをおすすめします。

残業をしないようにする

残業しても残業手当が出ないのなら、残業なんてしない方がいいですよね?

雇用契約によっては残業を断ることが出来ないケースもありますが、この「違法な残業」の実態は残業を断る理由としては正当です。

「残業手当が出ないなら残業しません」と、会社へ伝えても問題ありません。

もし、それによって会社からの報復が怖いと感じるのなら、本当にその会社に居るべきなのかを考える必要がありそうです。

信用できない会社なら辞める

残業手当が出ないことを含めて会社が信用性にかける場合、会社を辞めるという選択をすることも必要です。

残業代を払わない会社は悪質なブラック企業であることも否定できず、そのまま勤め続けるのは危険な可能性が高くあります。

「残業代をもらえていないから辞められない」と思うかもしれませんが、残業手当を含めた給料の未払いは、会社を辞めても請求出来るものです。

会社に残業代を請求する

残業手当は正当な場合は会社へ請求できます。

しかし、残業手当には時効が2年とあり、2年以上さかのぼって請求することは困難です。

つまり早い時期に訴えかけることが重要になります。

会社に直接言ってもだめなら労働基準監督署へ、または弁護士へ相談するとスムーズに請求を進めてくれるでしょう。

その際に必要になる“証拠”を出来るだけ準備しておくと有利にはたらきます。

この対処法を選択するときは、会社を辞めると選択した時かもしれません。

会社にいながら残業代を請求するとなると、いろいろと精神的にも辛い状況があるでしょう。

まとめ:「残業手当なし!」を許さない

残業をたくさんするような仕事に熱心な人ほど、会社への忠誠心が強い傾向にあります。

そのため残業手当が出ていないことに気づきにくく、残業代未払いについて告発しない場合が多く考えられます。

「残業手当なし!」を許さない

  1. 「残業手当なし!」はアウト
  2. 1日8時間・週40時間以上が適用
  3. 役職・固定残業代について確認を
  4. 悪質な独自の残業ルールには従わない
  5. 残業についての会社の認識を確認
  6. 違法(未払い)な残業はしない
  7. 信用できない会社なら辞める
  8. 退職してから残業代を請求する

会社への疑問や不信感を抱いたら、その時があなたの歩むべき道を正すチャンスです。

残業手当がないことを“なあなあ”にせず、現実を見て対処してみてはいかがですか?

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